全世界接近戦㉛
しかし、島崎らの過激派〝ネオ・ネイティ〟の勢いも留まることを知らなかった。
彼らは、腐っても過去に反乱軍の中核を成した兵士たちであり、その中核を成す島崎宗孝の人脈はこの地球世界においても健在であったからだ。
どんなにスミルノフが各国に影響を及ぼしたとしても、それを良しとしないネイチャー主義の過激派がそれを阻む。
島崎一派は、もうすでに全世界に凶獣ヴェロンの飼育方法を広めていた。そして、それによって凶獣たちが好む巨木の世界を確立して行った。
「良い感じになってきましたね、島崎中佐。もう、この地球もすでに、我々の移住先であったヴェルデムンド世界の雰囲気を醸し出してきています。これで、七つの海が巨木によって覆われれば、それはまさに第二のヴェルデムンド世界の確立と言えるでしょう」
言わずと知れたヴェルデムンド世界には、大海が存在しない。かつてそのような形跡があったことが知れているが、かの巨木群がそれを覆うことで海は大陸化し、さらには巨木が海水を吸い込むことによって水かさが減り、沼地のような大地が形成されたのだと地質学的に証明されている。
「そうだな。ここまで来たら、我々はこの地球さえも、ヴェルデムンド世界に変えてやれねばならん。そうすることによって、この地球でのうのうと暮らして来た者たちも自然の厳しさを知り、やがては人類の進化へと導かれて行くだろう」
島崎の胸の中にあるのは、かつて美しい容貌をした娘の真の姿である。今や成れの果てとなった機械の身体をした娘の姿を思い浮かべるたびに、彼の憎しみの炎が再燃するのだ。
「さあ、もっと核融合施設を焼き尽くせ! そして、中途半端な人類どもを、子供たちの餌にしろ!! その他はすべて焼き尽くしてしまえ!!」
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