災厄の降臨㊸
かの情報核融合自治区が襲われたことからも、その考えに
自治区に住まう人々は、誰一人例外なく肉体に機械装置を施したミックスである。
その肉体の機械部分のエネルギー消費を解決するために、彼らは情報核融合装置の導入を快く取り入れたという経緯がある。
本来、肉食系植物が人間を襲う理由は、彼らの繁殖のための捕食に過ぎない。にもかかわらず、半サイボーグ化されたミックスの存在に主眼の置いて一定のエリアを襲い、そのエリアごと破壊する行為は肉食系植物の本来の目的を逸脱している。
つまりは、この一連の凶獣襲来の流れには、基本的な矛盾が内包していたというわけだ。
「なぜか、情報核融合装置を取り入れた自治区が次々と襲われ、そして今、身共らがこうして襲来を受けてしまっています。となるとこれは……」
シグレバナにも、これらの凶獣たちを仕掛けた者たちの輪郭が
まさか、まさか……。
まさか、あの人物たちが、このようなことを考えていたとは。そして、このような恐ろしい計画を企てていたとは――。
シグレバナがそこに駆けつけると、谷の右翼に生い茂っていた木々は所々がなぎ倒され、まるで虫食い穴のように斜面が禿げ上がっていた。
「カレンバナ!! カレンバナ!! どこにいるのです!?」
さすがのカレンバナでも、何重にも及ぶの凶獣の攻撃を受けては命の保証はない。
シグレバナは、自らの生体反応センサーに投影されないことに焦りを覚えながら、
「あ、あそこか……!?」
必死の思いで空を見上げると、そこに一つ光る命が助けを求めていることを覚った。
「カ、カレンバナ!?」
彼女は絶望に駆られた。なんと、カレンバナの身体は凶獣のくちばしにぱっくりと
「カレンバナ!! カレンバナ!!」
何度も呼びかけたが、しかしまるで応答がない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます