災厄の降臨㉒
それに留まらず、この一体のヴェロンからは、ある特殊な感情が伝わって来る。
「シグレバナ!? もしかしてこの感覚は!?」
「そうです、カレンバナ!! この感覚は凶獣や他の肉食系植物を相手にした時の感覚ではありません!!」
「では、なんなのです!? この人の感情を逆なでするするようなおぞましい感覚は……!?」
「ええ、恐らくこの感覚は、身共らが人間と対峙したときの感覚と同じものです!!」
元87部隊の両名は、言いながら十字手裏剣を放つが、それもむなしく容易にかわされてしまう。もう手持ちの武器も尽きかけていた。
ただでさえ、激しい戦闘による電力消費は避けられない。ただこのまま不毛な追いかけっこを続けているともなると、やがて彼女たちはエンプティを起こし、起動すらできなくなってしまう。
「ま、まさか……!? こやつは、それが狙いなのでしょうか!?」
「そんな!? ヴェロンがそこまで考えられるはずが……」
彼女たちが、さらなる狼狽をみせた時である。
「カレンバナさん、シグレバナさん、下がって!!」
彼女たちが地上へと足を着いたタイミングと同時に、
「やあっ!!」
突如、草むらの中から小紋の叫び声がした。かと思うとその刹那に、一対の電磁トンファーが火を噴いたのである。
「な、鳴子沢さま!!」
「こ、これは……!?」
刹那、小紋が振り上げた電磁トンファーがくるりと半回転し、その先に激しく光るエネルギー体が、突撃をかまして来るヴェロンの脳天に
「あ……!?」
「え……!?」
カレンバナ、シグレバナの両名が声を上げる間もなく、緑色の
それは瞬く間の光景であった。まさに電光石火の出来事である。
二人は今、何が起こったのかさえ理解出来ずに、
「…………」
「…………」
互いに呆けた表情で見つめ合い、その場に立ち尽くした。
「何とか間に合ったようだね、カレンバナさん。シグレバナさん。二人とも無事で良かったよ」
身をひるがえし、ほっこりと笑みを浮かべる小紋に、
「あ、え、ええ……。助かりました、鳴子沢さま」
「しかし、いつの間に……」
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