スミルノフの野望⑥
「そうか。そなたの師匠も、かつてはそのようなことを」
「うん。だって、羽間さんは元々が商人なんだもの。だから、物とお金の流れを見れば、それがどういった意味を持つかぐらいは簡単に逆算出来るって」
「逆算とな。うむ、なるほどな。しかし、ここまであからさまに用意周到ともなると、あまりにも出来過ぎでは?」
「そうだよね。今回の一件は、あまりにもグッドタイミングというかバッドタイミングというか、小型核融合炉を設置したメーカーに都合が良すぎるような気がするよね」
「なるほどな。その小型核融合炉を設置させた一連のメーカーとは……」
デュバラが端末を開き、検索エンジンを開こうとすると、
「フューザー・アルケミスト社デス……」
小声で可愛らしい声がした。
「えっ!? オツ君? もしかして、あの機械の出どころを知ってるの?」
小紋が意外な表情で問い質す。
「ウン。ボク、知ってるよ。だって、アレを運んできたのも、ボクたちなんだもの」
オツの言うところはこうだった。
彼ら大型ラウンドビークルは、元はと言えば巨大な敷設物を運搬するために海外から船を用いて運ばれて来た物を、各所へ搬送する役目だったのだ。
だが、ここに居る個体〝オツ〟に限っては、その役目を一旦終えながらも、捕らえられた小紋を移送する名目で装飾され、更なる使命を負ったのだ。
「ダカラ、ワカルンダ、ボク。だって、ボクの記憶アーカイブの中に、さっき通ろうとした場所の検問所に使用された機械の個体コードがヒッカカッタんだモノ……」
頭隠して尻隠さず、とはよく言ったものだ。
「ふむ……。なるほどな。もし、オツ殿の話がそのままだとしたら、小型核融合炉はこの騒動が始まる以前から、この国に持ち込まれていたことになる。無論、その他の国々にも……」
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