驚天動地の呪い㉝
部屋の時計に目をやると、時間はまだ夜中の二時半を指している。
「僕は、なにか悪い夢でも見ているんだろうか?」
そんな錯覚にさえ陥ってしまう。
そんな時――、
「おう小紋殿、そなたも眠れないでいたか」
窓の上方から聞きなれた声に、
「わ、わっ!! デュ、デュバラさん!?」
なんと、デュバラ・デフーが窓枠を伝いながら階下に顔を向けている。
余りにも唐突であったために、小紋は口から心臓が飛び出るかと思った。
「す、すまぬ、驚かせてしまったな。私が
なるほど、どうやら同じフロアに部屋をもてなされたデュバラ自身も、小紋と同様に深い眠りをむさぼれていなかったらしい。
そこで彼女と同じように階下が気になり、部屋を出てみたらしいのだが、階段の防火扉が閉ざされていることに気づいて、こうして〝
「私の円月輪なら、あの程度の防火扉など紙切れ一枚を切り裂くよりも容易いことなのだが、得てしてそれでは世話になった竜子殿たちに申し訳が立たぬ」
「そうだよね。防火扉の鍵が閉まっているのだって、何らかの理由があって僕らを閉じこめているのかもしれないもんね」
「そうなのだ。しかも、彼女らにこの私が融合種であることは隠してある。まだ、向こうの腹づもりが何なのか分からない状態で、こちら側の手の内を見せてしまうのは避けたいのでな」
デュバラの言う通りであった。
どんなに小紋らが、手厚いもてなしを受けていたとしても、それが本当に好意によるものかがはっきりしない。
そうであるとは考えたくない小紋だが、そうすることが得策だというのは合点が行く。
「じゃあ、僕がいつかクリスティーナさんがやったみたいに、デュバラさんの目になるよ」
「すまぬ。そう言ってくれると助かる。では、小紋殿はその椅子に腰かけてくれ。私はそれを持って下まで降りる」
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