驚天動地の呪い㉜
小紋らは、それから小一時間ほど語り合ったが、それ以上の結論にたどり着くことはなかった。
お互い、竜子らのもてなしにとても感謝していたが、それでも竜子らグループの思惑がはっきりしない以上、全てを彼女らに心許せるはずもない。
夜半過ぎになっても、小紋はいつになっても浅い眠りしか訪れない状況に辟易し、思い切って日が明ける前にふかふかのベッドから這い出す羽目になった。
彼女は、用意されたパジャマから愛用のソルジャースタイルの軍服に袖を通し、南向きの窓から階下を見下ろした。すると、
「あれ? もうあんなところが明るい。この辺りは区画ごとの計画停電中のはずなのに」
数ブロック先のビル群の間から漏れ光る何かが見えたのであった。
小紋はそれが何なのか気になり、急いでエレベーターに向かったが、
「そうか。この時間は階段で降りなくちゃいけないんだっけ」
電力不足により、夜間はエレベーターが使用できない。
小紋は、階下に降りるために階段室へと向かったが、
「あれ? 階段に繋がる踊り場の扉が……」
頑強な防火扉に鍵がかかっており、どうしても先に進むことが出来なかった。
「どういうこと? これじゃあ、下に降りられないよう」
小紋は仕方がなく自室に戻ると、南向きの窓から身体を乗り出し、そして階下を見下ろした。すると、
「あっ、あれ……!?」
その下方から、どさり、どさりと重たいものが勢いよく地面に叩きつけられる音が聞こえて来るではないか。
どさり、どさり――
どさりと聞こえた後には、何か液体が弾け飛んで破裂するような音に変化している。それも何度もひっきりなしに。
小紋の背筋に、本能的な冷たいものが走った。
「なにこれ? すごい嫌な音……」
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