驚天動地の呪い④
思考レベルを赤子にまで落とされてしまった人々は、電脳世界においても、もはや赤子の存在でしかない。つまり、浮遊戦艦が運営していた一つの世界は、その影響で滅んでしまったのだ。
「もしかすると、さすがの浮遊戦艦でも、この結末は予想できなかったと見えますな。このような形の終焉を迎えてしまうなどと」
「たわけ!! 電脳世界に限ったことではない。これでは、この現実の……現実世界の地球ですら危ういではないか!! 貴様のやった行為は、悪魔の所業よりも大それたことじゃぞ!!」
「しかし、そのような情報は耳にしておりませんな。世界各地では、まだ国家運営もなされておりますし、まだそのような報告すら聞こえてはおりません」
それはスミルノフの言う通りだった。
確かに、未だに電力供給不足による一時的な停電は珍しくなかったが、それでも人々は細々と経済活動を続け、さらには三次元ネットワークによる情報発信もひっきりなしに行っている。
「では、どういうことなのじゃ。まさか、貴様の放ったウィルス……ロング・オブ・メデューサとは……」
混乱を見せながらも、さらに言葉によって深掘りを続ける桐野博士であったが、
「ま、まさか……」
「いかが致しましたかな、桐野博士?」
スミルノフは、蒼白になった博士の表情を見つめ、
「何か、これ以上良くないことでも起きるとでも?」
すると桐野博士は、一度言葉を置いて、それからキッと彼をにらみ返し、
「墓荒らしよ。その貴様の撒いたウィルスは……その鈴木源太郎博士の名を騙る者から渡されたと言ったな? もしやもすると、そのアンプルの中身は……相対性のウィルスなのかもしれん」
「相対性ウィルス……ですと?」
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