偽りのシステム119
今回の作戦は、全滅さえしなければ良い。一点突破でゲッスンの谷の拠点に入り込めれば、重要施設で人質を取り、いかようにも制圧の可能性を得ることが出来る。
エリケンら第十八特殊任務大隊の目的は、ゲッスンライト鉱山とゲッスライト研究施設の奪還である。その拠点さえつかみ取れれば、彼らにとっての面目躍如となるのだ。
「オペレーター!! 発射地点のフェイズウォーカーの特定は出来たのか!?」
「は、はい、遅くなりました! なにぶん、夜間の戦闘ですので人工知能解析に時間がかかってしまいました。画像送ります」
言われて、彼ら第十八特殊任務大隊の面々の補助脳にデータが送られた。一同は、その補正された画像データを確認するや、驚嘆の声を上げた。
「こ、これは烈風七型だと……!? ま、まさか!?」
何と、そのデータに映り込んだ姿は、まさに漆黒の下地に異様な赤い紋様の入った精悍な機体である。背中に携えた二門の砲門が前方に伸び、その先から凄まじい閃光が放たれた映像だった。
「あんなフェイズウォーカーごときの出力で、リニアレールガンが撃てるものなのか!?」
「いえ、我が艦の人工知能に問い掛けましたところ、烈風七型はゲッスンライトの装備効果により、強力なエネルギー出力を保てたのだと答えを出しています」
「なんと、ゲッスンライトの効果はフェイズウォーカーの機動力を上げるだけではないのか!?」
「どうやらそのようです。同じジェネレーター出力を以てしても、機体に組み込まれた回路などの抵抗を抑えるために、より効果的な出力を保持できるとのことです」
「ク、クソッ……してやられたな。しかし……」
「はい、そのしかしです、エリケン大佐。これでこちら側の思惑通りに事が運びます」
「そ、そうだな。あのリニアレールガンを烈風七型が撃って来たということは」
「こちらの東側に、烈風七型が配置されているという証明でもあります!」
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