偽りのシステム118
「レ、レールガンです!! このエネルギー体の正体は、リニアレールガンの類いであると思われます!!」
オペレーターの悲痛な叫びが聞こえて来たとき、
「ば、馬鹿な……!? こんな辺境の最前線の峡谷で、リニアレールガンだと!?」
エリケンはまだ、にわかに信じられないでいた。リニアレールガンは、かなりの威力と射程距離を持った実弾武器である。しかし、それを実戦に活用するには、それ相当の高度な技術と、それを撃ち出すためのエネルギー出力を有して居なければならない。
しかも、ゲッスンの谷から十五キロメートルも離れたこのような場所でそれを運用するのは非現実的でしかないのだ。
「どういうことだ!? なぜこんな場所で!? まさか、ゲッスンの谷から狙い撃ちしただと?」
「いえ、それは考えられません! 計算によりますと、弾頭のエネルギー軌道から予測された発射地点は、前方一キロメートルと推測されます。しかも、今回使用された弾頭は、途中から放射状の広がりを見せています! ということは、十五キロメートルも離れたゲッスンの谷から、敵迎撃部隊の間を通って我々の部隊を狙撃出来るなどは考えられません!」
「では、これは何だというのだ!? この状況は何だと言うんだ!?」
「は、はい……。我が艦の人工知能の予測計算からすれば、これは機動兵器からの攻撃であると……」
「ということは、まさか……フェイズウォーカーから撃って来たとでもいうのか?」
「とても認めたくはない事象なのですが、人工知能の見解はそうなっています……」
現実主義を貫き通して来たエリケンですら、目の前の出来事が悪夢であるかのように思えてならなかった。
しかし、それがどうであれ、また同じ攻撃を食らってしまえば全滅は免れない。エリケンは歯を食いしばりながら我に返り、
「全軍に告ぐ。各自各機体は散開し、第二射に警戒しろ!! 自ら動けぬ者は、こちらで回収を行う!!」
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