浮遊戦艦の中で357
リゲルデは引っ掛かった。そもそも、始祖ペルゼデールとは何なのか?
「その始祖ペルゼデールとかいう存在とは何なのだ、ダイゼン・ナルコザワ。なにゆえにそのような輩にこびへつらわなけでばならんのだ」
リゲルデは率直に問うた。彼は、自分が信じぬものに対して非常に厳しい。
「ふむ。それは良い質問ですな、リゲルデ殿。その質問は非常に重大だ。なぜならば、それこそが私が彼らと結託して真・ペルゼデールネイションという組織を作り上げようとした真の目的となるからだ」
「真の目的だと?」
大膳は、虹色の人類と呼ばれる自称〝五次元人〟と名乗る人々と頷き合う。そして、
「そうです。今のあなたの質問は、彼らに見せられた現実を踏まえて非常に需要な案件というわけですな」
「だから、その非常に重要な案件とやらを、早く言いたまえ。何なのだ、その始祖ペルゼデールとは。どんなヤバい輩なのだ?」
言われて大膳は鼻で笑った。
「フフッ、あなたも以前の私と同じ誤った考え方……いや、勘違いをなさっている。どんなに優れたアルゴリズムの入ったプロセッサーがあっても、そこに間違った情報が一つでも入れば、その答えは不正解に導かれる。つまり、x+y=zという単純な公式の始めのxに入る情報が誤っていれば、どんなに頑張っても導かれる答えは現実ではないということ」
「だから、そんな回りくどい言い様はやめてくれ! この俺の何が間違っていると言うのだ。早く教えてくれ!!」
「良いでしょう。では、かつてこの私も間違っていた考えの初歩をお教えいたします。つまり、始祖ペルゼデールとは……」
「とは……?」
「人物でも存在でもありません。ただのシステムなのです」
「シ、システム……だと!?」
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