浮遊戦艦の中で358
「そう、始祖ペルゼデールとはシステム。この世界を構築するために作り上げられたシステムのことなのです」
「人……いや、神などの個体の存在ではないのか? いや、集団でも集合体でもなんでもいい! 始祖ペルゼデールというからには、一つの存在ではなかったのか!?」
「はい、その通りです。始祖ペルゼデールは存在ではありません。だからと言ってあるようでないような概念でもありません。この無数にある次元世界に秩序をもたらそうとして構築された確固たるシステムなのです」
「ううむ……」
リゲルデは、大膳の言い様に戸惑いを覚えた。
人間はいつかどこかで何かと戦い合っている生き物である。それは、同じ人間同士であったり、違う種別の生き物であったり、時には自然の猛威や、己自身の境遇などにも対峙しなければならない。
リゲルデの頭の中にも、そういった物との対峙を考えていた。無論、ここに居る全ての人々がそう考えていた。
だが、始祖ペルゼデールという物の本質が、システムであるということは、そのシステムに打ち克たねば人類は滅ぼされてしまうということなのだ。
「彼ら、虹色の人類……五次元人たちは、この世に生まれ出て以来、殺されぬ限り死なないらしい。つまり、我々人類などよりも信じられぬぐらい時を重ねて生きて来ている」
「何だと……」
「そう、だからこそ、こういったことに気付いたのだそうだ。我々人類を作り上げた神と思しき存在は、存在ならず存在するものだと」
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