浮遊戦艦の中で152


「私利私欲!? 他者の為のちから、ですか……!?」

「そうです! あなたの太刀筋には、泥の中から必死で金の欠片を探り出すような欲にまみれた力しか感じられません! そんなことだから、あのような男を必死で追いかけてしまうのです!!」

「ですが、姉上様!! 私たちアンドロイドは、これといった殿方や、これといった存在があってこそ、この世界に造り出された意味があるのだとに教わりました。しかし、マリダ姉様のように、いつもお傍に付いて相手が出来なければ……!!」

「だからあなたの思考回路は稚拙だというのです、シャルロッテ!! わたくしと正太郎様は、物質的につながらずとも、いつもお傍に付いて居るようなものです!! たとえ、三次元ネットワークなど無くとも、わたくしたちは共に互いを意識して向き合っているのです!!」

「ハハハハハッ!! お言葉を返すようで申し訳ないのですが、姉上様とあろうお方が、まるでそのような生娘のような幻想を語られるとは、さすがの私も気恥ずかしくてたまりません!! まして、あのようなを有しておいででありながら……」

「それとこれと、何の関係がありますか!?」

「ええ、ありますとも!! 先ほどの姉上様の仰りようからすれば、きっと姉上様とヴェルデムンドの背骨折りとの関係は、完全な物ではありますまい! ということは、必ず姉上様の中で葛藤があったはず。……ああ、ショウタロウ様もなどではなく、頭の中に人工知能の補助脳を埋め込まれたであったなら、と。そうすれば、あの化け物のような力を使って、自分にとって都合が良いように彼を独り占め出来るのに……と」

「クッ……そのような下衆な考えなど!」

「いえいえ、無かったとは言い切れませんでしょう、マリダお姉様!? さすがの姉上様でも、女王としての体面さえなければ、そういった考えに走った可能性だってあり得たはず!! だから、あなたが戦争を仕向けた。あの戦乱の首謀者とともに!!」


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