浮遊戦艦の中で153


「わ、わたくしが……!? このわたくしが、何故!? 何故にあの戦乱を引き起こさねばならないのですか!?」

「おとぼけになっても無駄です、姉上様!! これでも私は、母を同じくしてこの世界に造られしアンドロイドです。その私たちクラルイン社製のアンドロイドは、あの超大型人工知能神〝ダーナフロイズン〟の機動ユニットとして生み出されたことを!!」

「そ、それは……!!」

「機動ユニットとは、まだ個体として完全体ではない超大型人工知能神の経験と知識を収集する役目を持ったアンドロイドの事です! その中でも飛び抜けて優秀に作成されたアンドロイドが姉上様だということぐらい、ノーマルの仕様で作成されたこの私だって知っています!」

「しかしそれは、クラルイン社の中でも極秘事項なはず……!?」

「いえ、この私もつい先ほど知ったばかりです! マリダ姉様が、この私の中に〝第二者侵入プログラム〟を介して入って来た時……」

「なんですって!? それじゃあ、まさか……!!」

「ええ、あの時、この私の思考回路を完全に乗っ取れなかったのがいけなかったのです。第二者侵入プログラムで完全に私を乗っ取ってしまえば、こんな秘密の断片など残さずに完全支配出来たはず!! 姉上様の仰る下衆な道を行くこの私に、このような秘密を知られなくて済んだはず!!」 

「シャ、シャルロッテ!!」

「そう……この私も、姉上様と同じクラルイン社製だということなのですね。いくら姉上様がクラルイン社の中でも最上級の技術を有したアンドロイドだったとしても、さすがに同じ系統の回路なだけあって、その記憶や思考回路も共有し易かったりするのだということ。そういうの、ちょっと嬉しかったりもするけれど……。でもね、姉上様。私はそれでも私のやり方でやって行こうと思うのですよ。そう、全てはリゲルデ様の為に!!」

「シャルロッテ!!」


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