浮遊戦艦の中で147

「何とでも仰るがよろしい!! 人々の心を、その恐怖によってねじ伏せるあなた方に、化け物呼ばわりをされる道理など御座いません!!」

「その言葉、そのままそっくり返してやる!! そのありのままを操れる力の、どこが恐怖でないというのだ!? 過ぎたる力を有する貴様こそ化け物以外の何物でもない!!」 

「笑止!! 人の皮を被った化け物が、何を仰いますか!!」

 マリダは、すかさずリゲルデの居る艦橋に向かって突進する。が、

「オペレーター!! 即刻、全システムと三次元ネットワークの回線を切れ!! 今すぐだ!!」

「りょ、了解!!」

 リゲルデの怒号とともに、艦橋に並ぶオペレーターは慌てて全てのネットワーク回線を閉ざす。すると、マリダの思考と他者の人工知能回路とのインターフェースは閉ざされた。

「これで、貴様の思うようにはなるまい!!」

 リゲルデが苦悶交じりの高笑いをするが、

「その程度のこと、わたくしの思う壺です!!」

 これを好機とばかりに、マリダは超振動式槍ソニック・ガ・ジャルグをシグマ・ウェルデに付きつける。

 隙の無いマリダの攻撃に、シャルロッテは手持ちのシグマブレードで矛先をかわすのがやっとであった。マリダの〝第二者侵入プログラム〟による一瞬の思考支配から目覚めたシャルロッテは、再びシグマ・ウェルデを戦闘モードに移行するや、間合いを自分のものにするために状況を把握する。

「マリダ姉様!! そのようなお力があるがゆえに、愛を下品と申されますか!?」

 マリダ機の矛先が、怒涛の如くシャルロッテ機に襲い掛かる。息もつかせぬ連続の攻撃だが、搭乗者のシャルロッテは微動だにせず、シグマ・ウェルデを巧みに操りその矛先を剣で受け流す。

「そのような事を申しているのではありません!! あなたは、その男に騙されているのです!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る