浮遊戦艦の中で96
※※※
この時、時を同じくしてヴェルデムンド世界でも大変革が起きていた。大国〝ペルゼデール・ネイション〟にて、この国の根幹を土台からひっくり返そうとする軍事クーデターが勃発したのだ!
「聞いてくれ、国民よ!! 事実、この国の混迷は、実に火を見るよりも明らかである!! 現状、我が国の財政、我が国の治安、我が国民の不安は
この日、多くの人々がペルゼデール・ネイションの中心部であるストラヘイム公会議堂前に集まっていた。市民は一様に喚起し、一様に歓声を沸かせた。
この時、国民はひどく憤懣を抱えていた。
二年前から起こる空からの核ミサイルへの脅威。そして、謎の機械生命体に取り込まれた二体の巨人による暴虐無人なる大規模な破壊行為。そして、行き場を失った肉食系植物たちの各寄留地への大襲来――。
それらの不安要因が各国国民の憤懣の引き金となり、この状況にまで陥ってしまった。
さらに、今まで謎とされたヴェルデムンド世界の上空は丸裸となり、この世界の約五分の一が焼け野原となってしまった。
そのため、ヴェルデムンド世界における自然機能の機能的循環は著しく損なわれ、この世界で生活する者たちにとって、とても厳しい面だけが浮き彫りになってしまったのだ。
ヴェルデムンド世界とは、一見人類には厳しい側面を見せているが、その実は自然とその他の生物とが循環をし、豊かな生活を送れるという一面を持っていた。
しかし、あの一件を境にして、この世界にある国家寄留地、自治寄留地の生活基盤が経済活動もズタズタに引き裂かれ、中には近隣の寄留地同士が軍事衝突するという事態が巻き起こったのだ。
その御多分に漏れず、女王マリダが率いていた大国ペルゼデール・ネイションにも転機が訪れていたのだ。
「シュンマッハ総統閣下!! 実に素晴らしい演説でございました。国民も一様に閣下の支持を仰いでおるようです」
側近のリゲルデ中佐が、もみ手をしながら愛想笑いで近寄って来ると、
「して中佐。逃走を図った女王のその後の足取りは掴めておるのか?」
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