浮遊戦艦の中で81
その瞬間、コックピット内の全機能は人工知能〝
「どうして!? ねえ、何で動かないの!?」
小紋は、問い質しながら、何度も操縦桿を揺さぶり、ジェットホバーのアクセルスロットルを踏み込んだ。
が、しかし、
「只今、緊急事態二ヨリ、アナタノ操作ハ、全テ、受ケツケ致シマセン――」
どうやら、同朋規定による安全装置が働いてしまったらしい。この年代のサポート人工知能には、操縦者の援護をする機能だけではなく、
「どういうことなの、疾風!? 僕が何をしたって言うの!?」
小紋は声が裏返り、今にも泣き出しそうな勢いである。
「鳴子沢小紋――。アナタハ、我々ノ組織二対シテ、重大ナ、反逆行為ヲ、行イマシタ――。ヨッテ、アナタヲ、造反者トミナシ、拘束スルト、ワタシガ判断シタノデス――」
「だから、それが分からないんだよう!! 僕のどこが造反者だって言うのさ!? どうして僕が反逆行為をしなきゃいけないのさ!?」
必死に食い下がる小紋に、
「コレヲ、御覧二ナッテ、クダサイ――。コレハ、アナタガ、シデカシタ、結果ナノ、デス――」
人工知能疾風は、それでも抑揚のない言い様で、辺りの状況をモニターに映し出した。
「えっ!? ええ……何、これ、ま、まさか……!?」
唖然とする小紋。そこに映し出された光景は、なんと数々のフェイズファイターと、味方潜入部隊のフライングボートの砕け散った残骸の跡であった。
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