浮遊戦艦の中で80
二分の一のサムライの
間合いに飛び込むのは容易であった。おおよそ五十階建てのビルをも飛び越えるような巨躯だけに、巨大化した二分の一のサムライの動きは、機動性と俊敏性を誇る迅雷五型とはまるで比較にならない。
「このままあんたたちを、闇の底まで葬ってやる!!」
言うや、小紋は突き刺したデュアルソードに最大限の超振動を与えた。刹那、デュアルソードは幾何学的で超高速なテンポの揺れを発生させ、二分の一のサムライの胸元をえぐり出したのであった。
「いっやあああああ!!」
気合で押し切るように小紋はジェットホバーを全開にさせ、迅雷五型改の機体ごと二分の一のサムライの鎧の中へと突き進む。
果たして、二分の一のサムライの漆黒にギラリと鈍い光を放つ鎧は崩壊の一途を辿り、胸倉から腹部の上辺りまでが崖崩れのようにボロボロと表面だけが剥ぎ落ちて行く。
「や、やった……。やったよね……?」
小紋は肩で息をしながら、その様子を確かめるように辺りを見渡す。
その刹那――
「ナルコザワリーダー、ゴ乱心―。ナルコザワリーダー、ゴ乱心――」
いきなり人工知能モニターに電源が入り、〝
「な、何、いきなり……!? ねえ、疾風。いきなり何を言い出すの!?」
小紋は額に汗を滴らせながら、怪訝な表情で彼に問いただす。すると、
「同朋協定第二十一条、第三十五項ノ規定ヲ発動――。只今ヨリ、ナルコザワリーダ―、改メ、鳴子沢小紋ヲ造反者トミナシ、拘束シマス――」
「な、なんだって!? 何を言ってるの、疾風!? 僕が何を造反したと言うの!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます