浮遊戦艦の中で㊵
「いえ、簡単なことです、鳴子沢リーダー。あなたには
シュミッター元大佐は言うや、円卓上にあるホログラミングツールのキーを慣れた手つきで操作し、盤上に一体の〝リモノイド〟の姿を浮かび上がらせた。
「こ、これはもしかしたら大佐……!? 戦闘用リモノイド〝ハザマショウタロウモデル〟というやつじゃあ……!?」
小紋がそれを見つめて問うや、
「ええ、そう。あなたの仰る通りです。これは、我が組織がいつしかの戦闘でこのリモノイドと戦闘になったときに、ようやく
「でも、これ……」
「いいえ、ご心配には及びませんよ、鳴子沢リーダー。この機体の受信装置に細心の細工が施されておりますので、今現在に於いて突然に相手方から遠隔操作などされることは御座いませんので」
「い、いや……それもそうなのですが、大佐。僕が言いたいのはそれだけじゃなくって……」
「ええ、鳴子沢リーダー。あなたなら多分、そこも懸念されておるのでしょう。しかし、そのご心配にも及びません。なぜなら……」
シュミッター元大佐はそこでニヤリと含み入れた笑みを浮かべ、
「ほれ、この通り。外連味溢れる漆黒の仮面をしっぽりと外せば、ミスターハザマそっくりのお顔がまるでここに本当におわすかのように登場するのです。どうです。なかなかの男前に出来ているでしょう? なにせこの顔面モデルは、あのヴェルデムンドの戦乱で名を馳せた若き日のお顔立ちで再現されておりますからな」
「ちょ、ちょっと、大佐……」
「ええ、ええ、鳴子沢リーダー。皆まで申しあがらなくても結構ですよ。そこはお若いリーダーの為を思って、実物より3.8パーセント増しでお顔立ちも美化させております。い、いえ……決して本物のミスターハザマのお顔立ちがままならないと言っているわけでは御座いませんよ。なにせあのお方は、反乱軍の女性の間でも大変な人気を博しておりましたからな。しかし、ここは我が組織の士気を上げるとともに、鳴子沢リーダー。あなた様のお心持を爆上げさせていただくためにこうさせていただきました。やはり女心というものは、愛すべき男性が凛々しければ凛々しいほど気持ちが上がるものですからな」
「え、いや、えーと……。大佐……僕が言いたいのはそういうことじゃなくって……」
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