浮遊戦艦の中で㊴


「だけど、相手は融合種ハイブリッダーだけじゃない。その一般の人たちの意識を利用した〝リモノイド〟の戦闘員も多数含まれちゃってる。そんな人たち相手に、僕たちは戦わなきゃならない」

「だからこそ……だからこそ、鳴子沢リーダー。あなたのお力が必要となって来るのです」

「僕の……? 僕の力の何が必要となって来るのですか、大佐?」

 小紋が怪訝な表情で問い質したとき、シュミッター元大佐はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

「策士と言うものは、常々あらゆる想定を思い浮かべて事を考える癖がありましてな。私はこのためにの改良を裏で進めさせていたのです」

「これ? これって何ですか?」

「ええ、これとはこれのことです」

 言うや元大佐は、自らの直属の部下であるジョン・マツモト技術士官をインターフォンで呼び寄せ、ひそひそと耳打ちをした。

「何ですと!? シュミッター元大佐。しかしあれはまだ……」

 その一言を聞くと、細面で眼鏡をかけたマツモト技術士官の表情が一気に歪んだ。

「マツモト君。私はこのために……と言うわけではないが、いつかこの事態が来ると考えて君にこのプロジェクトを任せておったのだ。そしてその来るべき時が来たというわけだ。万全ではないかもしれないが、何とかしてくれないか?」

「しかし、シュミッター元大佐。あれはまだ試験段階でして……。それに、アレを動かすにはそれ相当の熟練者レベルでないとん……」

「その心配ならご無用。熟練者ならここにおるではないか。そうですな、鳴子沢リーダー」

「え? 僕? 僕が何をすると言うんですか、大佐?」

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