フォール・アシッド・オー55
「アッハッハッハ!! そいつは面白い。これは実に愉快だ!! お嬢ちゃんが、あの伝説の兵士の一番弟子だと? こりゃあいくら何でも傑作すぎるぜ!! この俺の話を妄想だとか言っておきながら、自分はまるでお伽噺のヒロイン気取りと来たもんだ。よくもこんな時にそんなウソがつけるもんだな。体はとびきり
二分の一のサムライは思わず腹を抱えた。見た目で判断した限りでは致し方ないというところか。
「何が嘘よ!! 僕はれっきとした羽間さんのたった一人の弟子なんだからね!! あなたみたいなまねっ子インチキ男になにが分かるってのよ!!」
「ハハハハハ、そう言われてもよ。そんなちっこい身体で一番弟子だなんて言われてもこっちが困るぜ。確かに少しばかり腕の立つのは認めるが、あの伝説の一番弟子たあ、そりゃあ大きく出たもんだ。悪いこたぁ言わねえ。嬢ちゃんは見てくれは可愛いんだから、大人しくそこいらで歌でも歌ってりゃ、そんなウソこかなくても誰かが話の相手でも乗ってくれるんじゃねえのか」
「うわ、あったま来た!! 何だかすんごいむかついた!! ええっ!? 誰が嘘つきなのよう! 誰が認められたがりなんだよう!! 僕はそんなんじゃない!! 本当に羽間さんのたった一人の一番弟子だったんだからね!! それも、いっつも夜を共にしてたし……」
小紋は思わず最後に話を盛ってしまった。余りにも馬鹿にされ具合が激しかったために、どうしても見栄を張りたかったのだ。
確かに彼女は正太郎と夜を共にしたことが何度もあるが、それは当然、彼女の秘書兼付き人であるマリダも一緒であり、しかも正太郎との夜間特訓のことを言っている。事実、嘘ではないにしろ、彼女の言うような意味深な出来事は一切行われてなどいない。
「ハハハハハ! そいつは傑作だ。その嬢ちゃんの言うハザマショウタロウってのは、かなりの変態野郎みてえだな。嬢ちゃんみてえなションベン臭そうなガキ相手にするなんざよう」
「だ、誰がショ……。も、もう許さないんだから!! 僕はれっきとした大人の女だよう!! こう見えても、もうこの前のクリスマスには二十三歳になったんだからね!!」
「ほほう、そりゃあ失礼したな。……でもよ、嬢ちゃん。何でテメエはそんな嘘を吐く。だってよ、ハザマショウタロウなんてもんは、それこそ嬢ちゃんがさっき言ったみてえに、巷の作り出した噂に過ぎねえのによ」
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