フォール・アシッド・オー⑬


 敵は有象無象の大群であった。先の尖った槍のような武器を手にした者もあれば、触手のような腕にレーザーソードを全て手にして飛び掛かって来る者もある。中には狭い通路であるにもかかわらず、大型のスナイパー銃を構えて来る者もあった。

「小紋殿、数や力で攻めて来る敵には拳銃ではとても太刀打ちならん!! キミは俺が討ち漏らした者だけに狙いを定めてくれればいい!! クリスは小紋殿の援護に回ってくれ!!」

「了解したよ、デュバラさん!! 僕がいる限り、クリスさんには手を出させないつもりだからね!!」

「全て了解!! 二人とも、愛しているわ!!」

 言うや三人は、廊下の壁を背後にして三段構えの陣形を取った。先頭はデュバラが担い、そのすぐ後ろに小紋。そして殿しんがりにクリスティーナという構えである。

 デュバラは必殺の投擲とうてき武器チャクラムを投げても攻撃出来るが、近接でそれを構えて防御することも出来る。そこで討ち漏らした敵を小紋が得意の体術と銃撃でカバーするという算段である。たとえそれで小紋が苦戦を強いられたとしても、その背後には忍術と体術に優れたクリスティーナが備えている。これならば大勢の敵に攻められたとしても彼らの力量からすれば対処可能というわけだ。

 先手はデュバラのチャクラムがうなった。彼の両の腕から二つの光輪が放たれた時、辺り一帯に空を切り裂く音が響き渡る。その背筋が凍るように冷ややかな波動が過ぎ行くと、その行く手には無残にも四肢を見事に八つ裂きにされた私兵共が次々と倒れ込んで行く。

 しかしピンクの私兵共も気力では負けてはいない。デュバラの驚愕たる殺人のわざに恐れをなすどころか少しのひるみも見せず、倒れ込んだ仲間の半死のしかばねを踏み越えて怒涛の如く槍を仕掛けて来たのである。

「小紋殿すまぬ、隙が出来た!! 第二陣は任せたぞ!!」

「了解!! これからが僕の出番だよ!!」

 

  

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