不毛の街⑥


 猛りまくった〝ロニ教〟の面々は、自慢のを肩口から迫り出させると、

「神聖で崇高なるマカロニ神よ! 我らに最高の力を与えたまえ!!」

 と、同じ言葉、同じタイミングで念仏らしきものを唱える。

 だがしかし、

「そんな攻撃じゃ、僕に指一本触れられないよ!!」

 小紋は叫びつつ、迎え撃つ体勢に立て直し、小柄な体躯をクルリと一回転させる。と同時に、ふところに忍ばせていた数本の一文字手裏剣を五指の間に挟み込む。

「きみたちは、人類に不必要な力を手に入れた! それだけなんだよ!!」

 小紋は相手に向かって言葉を投げ掛ける否や、挟んでいた手裏剣を横一文字に一閃! 腕を薙ぎ払うかのように投げつけた。

 すると、

「うぐっ……!!」

「うおっ……!!」

「ぐひっ……!!」

「いやっ……!!」

「げひっ……!!」

「むちゃっ……!!」

 それぞれがそれぞれに下卑た悲鳴を上げ、こめかみを押さえこんで次々と倒れ込む。なんと、小紋はミックスたる彼らのこめかみに通っている補助脳制御神経に狙いを定めて、それを断ち切ったのだ。

 大切な人工神経を断ち切られてしまった彼らは、もうどんなにあがいてもを制御することが出来ない。まして、バランスを司る制御装置まで寸断されてしまったお陰で立ち上がる事すら困難になってしまったのだ。

「お見事よ、小紋さん!!」

 それを傍から窺っていたクリスティーナは声を掛けると、投げ終えた彼女の手を取り、

「だけどあなたは派手にやり過ぎたわ。ここは一先ず退散するのよ!!」

 そう言って、タイミング良く元銀座駅に列車が到着するや否や、そそくさと何事も無かったかのように扉から姿をくらまそうとする。

 おあつらえ向きに元銀座駅のホームは人でごった返しており、派手に暴れまわってしまった彼女らの身を隠すには絶好である。

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