神々の旗印211
「
何とも今聞いただけでは信じ難い話である。
確かに商売人として様々な経験や、危ない橋を渡って来た正太郎であったが、ここまで突飛出た壮大な逸話には出くわしたことがない。
しかし、正に彼らの目は真剣であった。嘘偽りで埋め尽くされた目でないことは確かであった。
「だ、だけどよ? アンタは、その間どうしたんだい? お絹さんの身体を受け継ぐ以前はさあ?」
「何を言っておる。〝適性体〟など普段からこのように探しておるわい。ただ、お絹のような眠りにつかせた〝適性体〟は、〝適性体〟が見つからなかったときの備蓄に過ぎぬ」
「備蓄……かあ。なるほどな。てえことはよ、その〝適性体〟ってのが見つかるか見つからねえのかは、かなりの運次第だってことだわな」
「そうじゃよ。言わば、〝適性体〟というのは、この儂や、儂の意思を受け継いできた者たちの知恵や知識や経験などを余すことなく受け継いでくれる受け皿のような物じゃ。その受け皿になれる資質がない者に、儂らの〝宝〟を注いでしまえば、今で言うところのバグを起こす。いいや、それ以上に死に至らしむる……」
「なるほど……。その話っぷりからすると、その失敗談も経験の内だってわけだな?」
「いやはや、お主は若いのに良くそこに気が付くものじゃ
「なんでえ?」
「お主も儂の意思を継いではくれぬか? お主自体、〝適性体〟としての評価は群を抜いておる。この儂の……いいや、この儂らの知識と知恵と経験をそのまま受け継ぐには絶好の適任者じゃ」
「適任者か。そりゃあ随分買い被られたものだぜ。なら聞くがよ? その意思を受け継いて行くアンタらの目的って何だい?」
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