神々の旗印161
勇斗は彼女のその勢いに圧倒され、物凄い反動を伴って背中から尻餅をついて倒れ込んだ。彼女の荒唐無稽な馬鹿力が勝ったのである。
「何をするんだ、早雲!!」
勇斗は目をぱちくりして早雲を見やる。
「何をするだなんて! それはこっちの台詞です!! ユートさん! あなた、一体どういうつもりでこんなことするんですか!?」
早雲のその迫力は、まるで長年連れ合った古女房の
「大体何なんです? ユートさん、あなた、セシル曹長が機械神に
彼女は臆することなく言い切った。この緊迫した状況の中で。
すると、勇斗は土埃の付いた黒装束を二度三度手で払いのけて、
「何を勝手なことをほざくんだ、早雲!! お前みたいな人工知能に何が分かる!? 大体お前はいいよな? だって人工知能なんだもの。俺みたいに不幸な両親を持たないで済むんだもんな。だからさ。だからお前はそんな悠長な綺麗ごとを言っていられるんだ。どこかの誰かが作ったマニュアル通りの正しさを手本に生きていれば、それで人工知能としてはきっと本筋なんだろうからな!」
「まあ、なんてこと言うの、勇斗さん!? もうあったま来た!! 何よ、このとんちんかんのおたんこなす!! ついでにへちゃむくれのこんこんちき! そんな路地裏にたむろっているクズ人間でも言わなそうな台詞を、よくこのわたしに言えたものですね! こうなったら、もうあなたのことなんか知りません! 一生気にも掛けませんから! いいですか? 金輪際あなたとのコンビは解消します!! 絶対に! 絶対にあなたみたいな人間のクズのことなんか気に掛けたりなんかしませんから!!」
「な、なんだと! もう一遍言ってみろ!」
「ええ、何度でも言っちゃいます!! わたしは元々、少佐のように心が温かくて強い男の人の方が好みなんです! 誰があなたみたいなクズの相手なんかしていられるもんですか!!」
早雲はそう言うと、倒れ込んだまま彼女らのやりとりを見て呆気に取られている正太郎の太い腕を抱え込んだ。そしてあろうことか、そのまま勇斗にあっかんべーをする。
「な、なにぃ……!!」
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