神々の旗印154


 その時である――

 正太郎のその耳に、どこかで聞き覚えのある声が飛び込んで来た。

「どうやら人殺しの天才であるアンタにも、帰れる場所があるみたいだな!!」

「なんだと!?」

 その声がした途端、無数の石つぶてが矢のような勢いで投げつけられて来た。正太郎は咄嗟にそれを察知し、手にしたレーザーソードで一筆書きに切ってそれらを全て叩き落とす!

「だ、誰だてめえは……!?」

 正太郎が振り返ったその背後には、どこぞ見覚えのない少年の姿があった。その声こそ聞き覚えはあるものの、どこで出会ってどこで恨みを買ったかさえ見当もつかない。

 少年は憎たらしいほどの笑みを溜め込んで、何度も深いため息を付いて居た。だぼついた黒装束を身にまとい、頭にはボロ布を束ねたような漆黒に染まる頭巾を深く被っている。背中には身長を超すほどの見事な大剣を背負っており、傍らには四つん這いになって首輪を付けた二体の人類もどきを従えていた。

「てめえ、何者だ!? 名を名乗れ!!」

 正太郎はレーザーソードを正面に構え、正体不明の相手の力量を測ろうとする。が、少年は正太郎の呼びかけにも答えず、さらに拳ほどの大きさにも及ぶ石つぶてを無数に投げつけて来るのであった。

 その勢いは、ただ威嚇をするために投げつけて来たものではない。いかにも殺人を目的とした勢いが見て取れるものである。

「クッ、こいつ……!!」

 少年には案の定羽根が生えていた。そして真横に伸びる角も確認出来た。だが、正太郎がかいせる言葉を放ち、正太郎がどこかで聞いたことのある声を発している。

「一体てめえは誰なんだ……!?」

 彼は連続で投げつけられる石つぶてを器用にけながらも、何度もその正体を問う。しかし、羽の生えた少年は石つぶてを投げる手を止めず、さらにいやらしいほどにニヤついた表情までも投げつけながら、時には空から、時には他の人類もどきを盾にしながら攻撃して来るのであった。

「何て奴だ……。奴は俺の放つ弾丸を全て他の連中に当てさせて自分の身だけを守っていやがる……。お互い様だとは言え、他の連中のことなどゴミ程度の存在にしか思っていねえ証拠だ……」

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