神々の旗印147


 烈風七型は地面を転がり続け、勢い余って倒壊した巨木の破片にぶち当たった。そしてやっとの思いでスラスターを逆噴射しそこに踏みとどまる。しかし、烈風七型の機体の損傷は激しく、背中の武器格納ユニットや巨人を押し込めた両腕は可動不能になり、両足の膝関節までもが激しく火花を撒き散らしていた。

「何だ!? 何が起こった、烈!?」

「分からない、分からないけれど……!?」

 彼らが呆気にとられてモニター越しに辺りの状況を見回して見ると、なんと赤い巨人の右足に白光を溜め込んだ一つの機体が体半分までめり込んでるではないか!

「あ、あれは……!?」

「あ、あれはフランキスカだよ、兄貴!! さっきまで巨人の上にくっついていたフランキスカⅤ型だよ!!」

「し、しかし何で……!?」

 すると、僚機の通信回線が強制的に開き、

「せ……背骨折り……。今だ……このタイミングでフランキスカの動力源を狙え……」

 その声の主はイーアン・アルジョルジュ。あの赤いフェイズウォーカーとの戦いで激しく重症を負い、その再起まで危ぶまれていた男の声であった。

「イ、イーアン!! お前なのか!?」

 とても信じられたものではない。この窮地に追い込まれた事態で、なぜ彼がここに居るのか?

「イーアン!! なぜだ!? なぜお前がそこに居る!?」

「なあに……これも俺の老婆心よ。死にぞこないのお節介だと笑ってやってくれ」

「その通りデスワ、正太郎サマ。イーアン様は、このワタクシが心配でナラナクテ、ワタクシたちの後をこっそりと付いてきてイラッシャッタんですの」

「マ、マーキュリー!! お前!! お前こそ無事か!?、まだ生きていたか!?」

 フランキスカⅤ型に搭載されたサポート人工知能マーキュリーは答え、

「当然デスワ。ここでご一緒に戦っていたクロヅカ二等兵が突然あの女の方に変化なされたと思いマシタラ、急にマタ、このコックピット内から消え失せてしまいましたの。デモ、今はイーアン様がここにおられるだけで、ワタクシはとても充実しておりマスワ」

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