神々の旗印146
女の声は語り掛けるや、
「この世界であなたに殺された人々は全てまやかし……。私たちは、何度も殺されて何度も酷い痛みを味わわされて……」
と、そこまで言葉を放つや、また赤い巨人の二本の腕を大きく振り回して烈風七型を叩き落そうとした。と同時に、マドセードらの機体のある方向へと歩みを進める。
「ど、どういうことだ!?」
正太郎が戸惑いを隠せない様子で、眉間の女の姿を見ていると、
「兄貴!! 正太郎の兄貴!! 早く! 早くしないと、マド兄ぃ達が!!」
烈太郎は叫んでスラスターを全開にし、咄嗟に機体を盾にして赤い巨人の足元に特攻を掛けた。
赤い巨人と烈風七型の機体差は、その大きさにして雲泥の差でありとても赤い巨人の歩みを防げるものではない。だが、烈太郎は三人と三体の人工知能を助けたいが一心で体当たりをぶちかます。
「ぐうううっ!! 烈!!
「で、でも……!! こうしないと!!」
烈風七型は、赤い巨人の左足が上がったところに、足裏から取り憑いて地面から持ち上げる。しかし、その重量差と勢いから烈風七型の腕は半壊し、膝関節のジョイントも互いにめり込んで可動域が不規則になってしまった。それでも、
「こうなっちまったら運の尽きよ!! 烈!! てめえ、とことん踏ん張れ!! 諦めるんじゃねえぞ!!」
「ア……アイアイサーだよ……兄貴!!」
言うものの、とても物理的に踏みとどまるものではない。もはや、烈風七型が踏み潰されるか、それとも三体の僚機がもう片方の足で踏み潰されるかは時間の問題であった。
「さすがにこれはヤバいか……!?」
「兄貴、ごめんよ……、でもオイラ、どうしてもマド兄ぃ達を助けたくって……」
「へへっ、気にすんな……。いずれどんな事があったって遅かれ早かれ人は死ぬ……。それが今来ただけだ、それだけだ」
「兄貴……」
「楽しかったぜ……」
言うや、百戦錬磨の正太郎ですら死の覚悟を決めたその瞬間である!! 彼ら機体の上方から突如激しい光と共に腹の底に響くほどの大震動が伝わって来た。すると、烈風七型の機体はその重圧から途端に解放され、その場から百メートルほど弾き飛ばされた。
「うおおおっ!!」
「うわああっ!!」
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