神々の旗印105


 赤いフェイズウォーカーは正に神出鬼没だった。空間を完全に無視し、奴は次元の裂け目から縦横無尽に攻撃を仕掛けて来る。あの赤い奴さえいなければ、三人がここまで追い詰められルことはなかったであろう。

「さあ行くぞ、烈!! 気を引き締めて行けよ!! 奴の中に一億人以上の意識が詰まっていようが、今はアレを倒さなければ俺たちに明日はねえ!! 人類に明日は来ねえんだ!!」

「分かってるよ兄貴!! オイラはいつでも兄貴と考えは一緒さ!!」

 烈風七型は最大戦速で密林の中を駆け巡った。こうやって素早く動き回らねば、空間の裂け目からあの化け物たちがいつ飛び出して来るか分からない。

「烈! 戦闘は俺が全部引き受ける。お前は、演算予測から導き出される奴の出どころを逐一俺に報告しろ!」

「え、大丈夫なの兄貴? ソニックブームキャノンでの威嚇射撃ぐらいだったら、今まで通りオイラにも片手間で出来るかもしれないよ?」

「馬鹿野郎! 相手は一億人以上の意識を持った化け物なんだ。今までのやり方で通用しないってんなら、そのぐれえのスパイスの効いた偏り方をしねえとどうにもならねえんだよ!」

「分かったよ、兄貴! 正攻法では相手にならないってことだよね? ということは何か秘策があるの?」

「いや、まだ秘策ってえほどの策はねえ。だがよ、さっきも言った通り敵も必死なんだ。必死だってことは、つまり、相手のどこかに何かすきがある証拠だ。それを戦いながら見つける」

「でもさあ、兄貴。そんな悠長なことは言っていられないよ? マド兄ぃやシス兄ぃ、それに早雲ちゃんの機体が迎撃に持ち堪えられるのも、オイラの計算予測じゃあ、ざっと見みても五分は下らない。それまでに秘策を見つけ出さないと……!」

「ああ、分かってるさ。どの道、アイツらがいなけりゃ俺たちだけでこの先どうにもならねえんだ。どこかに消えちまった勇斗の捜索だってしなきゃならねえしな」

「うん、オイラたちはあの五年前と同じ、一蓮托生ってわけだね」

「ああ、それだけは人間が石を扱っている頃から何も変わっちゃいねえ。一人だけで出来ることはとことん限られてるからな」

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