神々の旗印61
勇斗は、この目の前の男の言っていることの荒唐無稽さに呆れるばかりである。
だがしかし、
「いいですか、少佐? あなたが言い出したのだから、怪我なんかしても俺を一切恨まないでくださいね?」
何とも本人がそうしろというのだから仕方がない。
「バーカ。そんなつまらねえ心配をするより、先ずはテメエの実力の無さを心配しろ。いいか、お前はこれからやる俺のお手本をよく見るんだ。そしてこれだけは言っておく。ここで決して目は
「は、はい……」
勇斗は一応返事をしたが、内心は半信半疑である。
目の前の伝説の兵士は、どうやら自信満々で物事を話しているようだ。が、世間の常識から言えば、とても尋常な訓練だとは思えない。先程の人間が投げつけただけの空き缶でも全てを切り落とすのは難しい。なのにこの目の前の男は、それ以上のとんでもなく危険なことをやってのけて見せると言うのだ。
そんな先々の予測不可能な状況に、
(いっちょうここは、羽間少佐の身体をとプライドを気遣って、なるべく優しく投げつけてやるべきなのかな……? それとも、少佐の言う通りに全力で投げつけてやるべきなのかな……?)
そんな選択に勇斗が迷っていると、
「おいコラ、そこのへなちょこ二等兵!! テメエ、まさかここでぬるま湯みてな甘っちょろいことを考えてねえだろうな!?」
正太郎が大声で怒鳴りつけて来た。
「え……?」
「いいか、テメエ!! ここで少しでも手を抜いたら、この俺の権限でこの後のお前の晩飯は抜きにしてやるからな!!」
「なっ……!! なぜそれを……!?」
勇斗の考えは読まれていた。
「くっ……やっぱテメエ、そんな下らねえこと考えていやがったか。テメエの寸足らずな物の考えなんざ、こちとら全てお見通しなんだよ! いいか? 俺ァ、前にも口を酸っぱくして言ったはずだ。俺たちのこの野蛮な世界には、言いわけだとか
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