神々の旗印52
男は、画面上のデータを、驚愕を禁じ得ない態度で見つめる。
「そうなんだ。一つ一つの部品は、何ら量産品と変わらんのだ。だが、そんな部品の寄せ集めなのに、この機体構成は、我々の想像を超えるぐらいにまでポテンシャルが引き出されている……」
「なんだと!? しかし……この化け物の外観は赤色に染められている以外、まるで下手くそな継ぎはぎだらけのパッチワークのようじゃないか」
「それはそうなんだが、現実にこのデータ解析に掛けてみると、有り得ないチューニングが施されていることが分かる」
「ということは……これは何らかの合理的な計算を基にした黄金の組み合わせとだとでも言うのか?」
「ああ、そういうことだ。この我々の端末が誇る人工知能が導き出した計算が正しければ、な」
「す、するとまさか……!? これを作り出したのは、我々人間以外が創り出したという可能性が考えられるな?」
「あ……ああ、その貴様の仮説は正しいのかも知れん。今までの姿、形、デザインや背格好などというものは、俺たち人間が考える先入観のいたずらに過ぎんのだからな。もし、それらの考えを排除して、より合理的に機体構成をアレンジしたならば、ここにある黄金の組み合わせが完成するという寸法だ。こういった発想は、とても人間の意識で考えられるものではない。言わば、それこそがこの端末のデータから観て取れる結論なのだ」
「な、なんと……!?」
調査班の四人は、互いに渋い表情を見合わせて沈黙した。分からない話ではない。何しろ、この機体にはパイロットの存在が確認出来なかったのだから。
そしてさらに、現場に居合わせた連中から聴取されていた、
「ニンゲンナド、スベテ、シネバヨイ……」
という不気味な台詞が、その仮説を後押しする。今までの常識では考えられないが、機械が機械による意思で人類を殲滅させようとしている感じがしてならない。
その時である。そんな深い沈黙を破るように、一気にその場がざわめき立つ。
「な、なんだ!? 何の音だ!?」
四人の調査員が、辺りを見渡しながら色めき立つと、その場所に細々と分割された朱塗りのフェイズウォーカーの部品らが、まるで生き物のように一斉に這いずりながら寄り集まって来た。
「な、なんだ!? 何なんだこれは……!?」
四人は唖然としながら互いに固まり合って足をすくませている。
しかし、それら部品の集団は、もぞもぞとまるで手足が生えているが如く一か所に導かれながら、自然に組み合わさって行った。
「ば、バカな……!! 機械がひとりでに……!?」
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