神々の旗印⑬
正太郎は、陰から二人のその会話の内容を聞いて、これまた驚愕を禁じ得なかった。
なんと、あのジェリー・アトキンスの姿をした男が、全く自分が知っているジェリー・アトキンスとはかけ離れた雰囲気を醸し出していたために、本人ではないことには薄々感づいていた。
がしかし、彼らの会話の内容から察するに、あの黒髪の美少女さえも元々が別の
(確かに、あの娘の化け物染みた無茶苦茶な力は、アンドロイドやミックスであったとしても何の不思議もねえ……。ただよ、だとしても、あの華奢な体つきではいくら機械であったとしても、たった数回もあんな攻撃の仕方をすれば腕がもぎれ落ちちまうはずだ。それなのにどういうわけなんだ……?)
流石に武器の
(あの手足だけの気色の悪い化け物だけでも驚きだってのに、その想像の上を超える超素材で出来た美少女に出会っちまうなんてな……。これまた非常に参ったもんだね……)
時代はいつも多大な変化の連続である。しかし、それを受け入れなければ、彼の
(うむ……、これは奴らに直接声を掛けて接触する必要があるな。どんな戦略を打つとしても、まずは確実な情報が必要だ……)
彼は、二人を少しの間そのまま泳がせると、その間にすべきことの戦略を組んだ。
先ずは、ジェリー・アトキンスの姿をした男との接触である。正太郎にとって、ジェリー・アトキンスとは五年前の戦乱を共にした戦友であり、先の黒い嵐の事変で敵になった男である。
その彼に、正太郎が正面切って姿を現した時の反応が、今後の対応の舵取りを決める。謎の美少女との対応はその後ということになる。
正太郎は何食わぬ素振りで二人の前に姿を現すと、
「よう、ジェリー? 久しぶりだな。あの猛吹雪の晩以来じゃねえか。テメエ、無事だったんだな?」
と、素っ気ない口調で問い掛ける。
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