神々の旗印⑫
正太郎は、その後もこっそりと二人の後を
整備兵や整備ロボットが激しく行き交っているだけに、彼らは正太郎の影にまったく気付く素振りがない。
もし万が一、彼らにおかしな言動や行動が見て取れるともなれば、即、彼らの命を絶たなければならない。あの坑道内での不信極まりない行動を目撃したからには、彼らこそが人類にとっての脅威である可能性も捨てきれないのだ。
(何てったって、俺たち人類側の一大事だからな……。どんな不安要素だって見逃すわけにはいかねえ……)
正太郎は呼吸をなるべく抑えると、周囲の人間には簡単に察知されないぐらいに気配を消した。もし、これで相手が簡単に正太郎の存在を察知出来ようものなら、それこそ彼らは何らかの改造を施された化け物である可能性が高くなる。
あの壊滅的な破壊力を持った美少女もそうだが、ジェリー・アトキンスの姿をした男のタフネスさも、もしその話が真実ならば、常軌を逸した現実である。
そんな未知の能力を有して改造を施された存在が、この軍事キャンプ内に紛れ込んでいること自体が、もしかすれば人類側にとっての脅威にならざるを得ないのだ。
二人は、正太郎の存在に全く気付かぬまま、次々とフェイズウォーカーとの相性診断を繰り返していた。
しかし、どうやら相性度判定の数値が、到底戦闘を行えるレベルに達していないためクリアを示すグリーンサインが灯らない。
「なあ、早雲。これで何体目だ?」
ジェリー・アトキンスの姿をした男が聞くと、
「多分、私が二十七体目で、ユートさんが三十体目だと思います」
黒髪の美少女は、半ば口惜しそうな口調で答えた。「なぜ、私が、他のフェイズウォーカーとの相性診断なんかしなくてはならないのでしょうか……?」
「うーん、気持ちは分かるが、仕方ないだろう? だって、こうでもしなくちゃ、あの爺さんに俺たちの体を乗っ取られたままになっちまうんだからさ」
「それはそうですけど……。私、正直言って、ユートさん以外とコンビなんか組みたくない……」
「それを言うなって、早雲。もし、このままお前がその体でいたとしても、俺としては全然平気なんだけれど、お前はこの俺の姿を良くは思っていないんだろう? それならば、何とかここを乗り切って、あのアルベルト博士をとっ捕まえに行かなくちゃならないだろう?」
「は、はい……。それはそうなのですけれど……」
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