神々の旗印⑩
「おーい、烈! 烈ってばよ!」
彼は様々な戦闘マシンが立ち並ぶ中、ぐるぐると烈太郎を探し回った。だが、烈風七型――つまり、烈太郎の姿がどこにもない。
正太郎は、昨日の戦闘の後、簡単な修理とチェックをしてから、この辺りで烈太郎と別れたのだ。
烈太郎は、当然の事、他のフェイズウォーカーから一目置かれる伝説とも言える存在である。
それだけに、他のフェイズウォーカーたちから昨日の戦果を称賛される姿が見てとれた。まるでその様は、まだ小さな子供たちが鬼ごっこかドッジボールで最後まで生き残った者を英雄視するかのような無邪気なものであった。
そんな烈太郎の姿に、正太郎もつい嬉しくなり、
「おい烈。お前、そいつらと少し仲良くなって来い。そういったのもまあ、これからの良い社会勉強だ」
とか何とか言って、自分は古い友人たちとの祝杯に勤しんでいたのである。
「んったく……ちっきしょうめ。折角細部のメンテナンスしてやろうかと思ったのに、アイツどこ行っちまいやがったんだ?」
正太郎は、渋い表情であちこちを見回していると、
「ん? あれは……」
と、この場には似つかわしくない姿を見つけた。
その姿とは、小柄で華奢な体つきに、長く真っ直ぐ伸びた黒髪を後頭部で結わえたかなりの美少女である。
「あ……あの子は、あの坑道の底で見掛けた娘じゃねえか………」
正太郎は、その娘の姿を記憶の奥底から消し去ることは出来なかった。なにせ一見華奢そうに見えるその娘とは、あの棒切れのように細長い腕のみで、手足だけで出来た気味の悪い生き物たちを見るも無残に一網打尽にしてしまったとんでもない輩だからである。
「な、なんと……。し、しかし、なぜあの娘がこんなところに……?」
彼が、思わず彼女の視界に入らないように身を隠し、そっと様子を窺っていたその時であった。
「は、早雲……、そっちはどうだった?」
と、その美少女の傍に、ジェリー・アトキンスのなりをした男が近寄って来た。
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