青い世界の赤い㊿
そして、
「さあ、出てらっしゃい!! そこに居るのは解かっているのよ、黄金の円月輪!! 面と向かって洒落た口説き文句も囁けない男が、こんないい女を落そうだなんて時代錯誤もいいところだわ! そうやって離れたところからウジウジこっちを窺っていられるほど、煙ったいものは無いわ! どんな時代が来たってそんなんじゃそっぽを向かれるだけよ!
と、彼女は唐突に歯切れのよい
普段ならこんな馬鹿げたことを言うはずのない彼女であったが、今は
クリスティーナは固唾を飲んで、ジッと息をひそめた。今の言葉に応えるところがあれば、敵とて何らかのアクションを起こして来るはずだ。
その時である。静寂を
(く、来る……!?)
卓越した感覚を持つ彼女でなければ気付かなかった。その
「エイッ!!」
クリスティーナは、振り向きざまその光輪を素手で払いのけた。
「熱っ!!」
払いのけたと同時に、クリスティーナの手に凄まじい痛みの感触が走る。
(何てこと! これは今までのような金属の武器じゃない。まるで光を帯びたエネルギー体の輪っかだわ……)
案の定、彼女の美しい手に、それを触れた部分だけ真っ赤な火傷の痕になっている。そしてフロアの真っ赤な絨毯も、光輪が通った場所だけ黒く焼け焦げている。
次第に辺り一帯の空気は、燻されたような焦げ臭さで充満していた。光輪は彼女を狙わず、予想通り気を失った小紋に向けられている。
「そういうことね。これからがアナタの本領発揮なのね。なら、上等よ。受けて立とうじゃないの。私のお父さんを殺した黄金の円月輪!!」
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