野望の73
それはかなり意外な光景であった。最新型のKPー099を始めとした武装型アンドロイドや攻撃型ドローンが一斉に施設の警備兵や職員達を襲い始めたのだ。
ある者はKP―099の放つスティルベレット弾に蜂の巣にされ、ある者は攻撃型ドローンNM―019のウィングナイフに頚動脈を掻き切られる。
突然襲い来る機械兵士らの暴動に、発電施設の職員達も抵抗する間も無く無惨に絶命してゆく。羽間正太郎の侵入を警戒して増員された警備兵達は戸惑いながら応戦するのだが、対武装型アンドロイド用の装備をしていなかった為にどうにも歯が立つどころではない。やがては使用していたアサルトライフルの弾薬が切れKP―099らの針の餌食となっていった。
「一体どうしちまったって言うんだ!? 同じ軍の仲間同士で殺し合いか? コンピューターがいかれちまったとでも言うのか!?」
正太郎は手にしていたエクスブーストの時限装置を一旦懐に仕舞い込むと、倒れている警備兵のアサルトライフルを拝借する。
「チッ、無駄弾使いやがって! どれもこれも殆ど弾が入ってねえじゃねえか!」
ここに派遣された警備兵達も無論全員がミックスである。ミックスの兵ともなれば、統率が取れ反射神経も運動能力もネイチャーと比べれば平均以上の能力を有している。しかし、相手が戦うのみに生産された武装型機械兵ともなれば話は変わる。
ここヴェルデムンド新政府管轄の場所では、人類と機械の融合をテーマに政治教育が進行している。それゆえに、元々こう言ったシチュエーションを想定していない。つまりは、機械兵相手の戦闘ケースが用意されていないのだ。
「そりゃそうだ。統括しているのが人工知能様々なんだからな。戦闘教育にそんなもん想定して準備していたら自殺行為みてえなもんだからな」
正太郎は想定外の状況に戸惑いながらも、最後に時限装置を仕掛けるコンダクター部分へと足を向けた。彼はこんな状況になっても足止めを食らう訳にはいかない。なにせ、もう時間がないのだ。
「クッ、予定よりかなり時間を食っちまった。もう十分しか残り時間がねえ……」
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