謎の物体!?

 ※初登場人物、ダーサン(主人)


 その物体が初めて出現したのは、4年前の秋だったでしょうか。

 彼岸花が咲き乱れる頃に、ダーサンが慌てて私を庭へと呼び出しました。

「涼月、来てっ!」

「なに?なぁに?」

 とてとて、と呼ばれた場所へ行くと、ダーサンが真剣な顔で庭の一点を指差し、

「あれ…、何?」


 そこにあったのは。

 真ん丸で真っ白な謎の物体。

 初めて見たのでダーサンは不気味がっていました。私も現物を見たのは初めてだったのですが。

「あぁ~、オニフスベ、だよ。真ん丸でなんだか可愛いねぇ。」

 のほほんと答える私。


 オニフスベはキノコです。

 キノコ図鑑には竹林に生えている写真が載っているので、竹がある場所に生えやすいと紹介されているのですが、我が家の西側にある竹やぶにではなく、東の花壇に見事に生えたオニフスベ。

 巨大化するとバレーボールくらいの大きさになりますが、我が家に生えたのはドッジボール大でした。

 しかし、いつの間にこんな大きさまで育っていたのでしょう?

 毎日通っていても気づかないものです。


 ちなみに。

 オニフスベは若く小さく中が真っ白なうちなら食べられる…と紹介されている図鑑もありますが。

 基本的には食べられないキノコに分類されているので、冒険はしない方が無難です。


 以来、毎年秋には真っ赤な彼岸花に囲まれながら、真っ白で真ん丸なオニフスベが見られるようになり、すっかり見慣れてしまったダーサン。


 不気味がっていた時に、宇宙人の卵かも、とからかってみれば良かったかなぁ…なんて、今頃思うのでした。

 ふふっ。

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