熊との遭遇


 私とダーサンは、春になるとそわそわと出掛けたくなります。春は山が呼ぶのです。山菜の季節到来!(笑)

 春の幕開けを告げる愛らしいふきのとうを探して、福島県や山形県の残雪残る里山へ出掛けるのが、恒例になっています。


 ふきのとうなんて、自宅の敷地にたくさん出るんですけどね。

 残雪の残る場所に生えるふきのとうは、アクが少なく苦味が少ないから美味しいのです。

 私はふきのとう3個以上食べるとアクにあたりますが。


 2年ほど前のこと。

 ふきのとうを採りに出掛けた先で。ツキノワグマを見掛けました。


 福島県にある猪苗代湖という、大きな湖沿いの道を走っていた時のこと。

 道路脇の湿地に鷺が2羽、まるでシンクロのように同じ立ち姿で、じっと左の方を見ているのに気づいた私。


「鷺がシンクロ~、何見てるんだろ?」

 呑気にダーサンに笑い掛けたら、

「…熊、だな。」

 ダーサンがボソッと。

 まさかぁ、と思って視線を追ってみたら、左手奥の林に黒いものが。

 ど近眼の目には遠くて黒い犬のように見えますが、動きが犬じゃない。


「わーっ、熊っ、熊っ、カメラ、減速してぇ、カメラ、わわっ、こっち見た!」

 ただでさえ声が大きい私なので、窓を開けながら騒いだ声に、熊が気づいた!?

「涼月、シーッ!熊、時速50キロで走るぞっ!」

 慌てるダーサン。…にしては、冷静な解説に笑っちゃいました。


 結局、ふきのとうどころではなく、熊が追いつかないうちにと帰路についてしまいました。

 付近の鶏小屋が襲われたとか、ニュースになっていた時期だったので、危ない時に行ってしまったようです。


 あと30分違っていたら、もっと近距離遭遇になっていたのかも、と思うとぞっとする体験でした。


 

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