ひとときの気持ち
MaCy
第1話
ふと思った。
恋ってどんなものなんだろう。
異性を好きになること、同性を好きになること、動物を好きになること、画面の奥の人を好きになること。
いろんな種類がある。
僕はまだ恋をしたことがない。
恋がどんなものなのかも知らない。
そもそも誰かを好きになるということが分からない。
ないない尽くしの僕は誰かを好きになってみようとした。
無論、そんな考えで好きになれる人はいなかった。
顔が可愛い人も何か物足りない、性格がいい人も何か違う、趣味が合う人はその話しかしない。
一体何が足りないんだ。
僕が一人で悩んで考えてどうしたらいいのかと思いふけていると、ふとこんな事を思いついた。
もしかして今、この感情が恋じゃないのか?
何かについて一生懸命考えて、それに対して全力で、胸が締め付けられるような感覚が恋だって聞いたことがある。
仕事が恋人だなんて話もあるくらいだし、もしかして僕が恋をしたのは『恋』じゃないのかって。
そう気付いてからは早かった。
恋人同士がすることはまずはデートだ。
恋ってなんだろうと考えながらカフェでコーヒーを嗜む。
恋してるならこんなこともするだろうとジェットコースターやコーヒーカップにも乗った。
典型的なプリクラだって撮った。
こんなにも充実した日々が今までにあっただろうか。
こうして恋をしている時間は何にも変えられないほど幸せで、自分の中の世界に閉じこもれる最高のモノだった。
次に何をしようか。
そう考える前に僕はいつの間にか病院にいた。
両親が突然息子が狂いだしたと精神科に連れていったのだ。
なんて身勝手なことを。
人の恋路を邪魔するなんて許せない。
そう言って僕は病院の窓を蹴破って外へ逃げ出した。
どこまではしっただろうか。
気がつくと橋の上に一人で立っていた。
どうすればあの両親は納得してくれるだろうか。
そんなことを考えても無駄だ。
僕は僕の人生を歩んでいくんだ。
僕はまだそうして果てのない旅路を繰り返す。
何度となく繰り返されてきた夢を性懲りも無く忘れたように見続けるんだ。
一人狭い箱の中で。
ひとときの気持ち MaCy @Makki_cas20
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