聞いてくれ、俺は円盤を見たんだー後編:「PLAN9 FROM OUTER SPACE」についてー

 本作品の主役については諸説あり、はっきりしたことは不明である。オリジナルの映画のクレジットを見る限りだとトー・ジョンソンが主演の中でも一番最初に名前が挙がっているが、有限会社フォワードの「プラン9・フロム・アウター・スペース 新訳版」のDVDだと主演のところにトー・ジョンソンよりも先にベラ・ルゴシの名前が挙がっている。またWikipediaではグレゴリー・ウォルコットを主演の筆頭においている。

 ベラ・ルゴシの遺作であり、おそらく監督はこの映画をルゴシに捧げるような気持ちで作ったと考えられるので、クレジットに名前が挙がっていたトー・ジョンソン、ヴァンパイラ、トム・キーン、グレゴリー・ウォルコットの4人とベラ・ルゴシが主演であると考えて差し支えないだろう。それぞれの役者がどの登場人物を演じているのかについては各人が確認してほしい。

 主役が諸説ある理由は、ルゴシが本作品の制作が始まって二週間ほどで亡くなっていることがある。キャリアや演技力から考えれば、ベラ・ルゴシ以外に主演は考えられない。しかしベラ・ルゴシ本人が出ている場面はわずかしかなく、フィルムのほとんどはルゴシ代役である、監督の妻の指圧師の男性が顔を終始隠して画面内に存在しているという状態である。


 映画の内容を演技抜きにナレーションでほとんど説明したり、実質的に主演が不在なのにも関わらず映画制作が敢行されたりと、他にも挙げればきりがないがとにかくめちゃくちゃである。これは昔の映画で現在のように洗練されていなかったのが理由ではない。本作品の制作年は1959年で、同時代の映画作品には「ローマの休日」(制作年:1953年)や、少し時間を遡るが「風と共に去りぬ」(制作年:1939年)のような名作がある。


 「PLAN9 FROM OUTER SPACE」は、当初「Grave Robbers from Outer Space(外宇宙からの墓荒らし)」という題名であった。元の題名の通り本作品は宇宙人の来襲にたまたま巻き込まれてしまった人々の不運を描いた物語である。また緊迫感あふれる宇宙ホラーを作ろうとした形跡に心打たれる映画である。

 書きたいことは山ほどあるが、Z級映画の破壊力は実際に映画を観て確かめてもらいたい。

 




 




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映画レビュー「PLAN9 FROM OUTER SPACE」【ネタばれアリ】 ガミジン @sanae-kotyaa01

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