第23話

私は、いつも窓と本を見ていた。勉強は嫌いじゃなかったから、いろんな本を持って来てもらっていたから。部屋の外には出られなかったけど、クリウスがいつも話をしに来てくれたんだ。



「それでも、クリウスはいつもいろんな想区の話をしてくれて楽しかったよ」

「いや記憶喪失どこいった?!」


元々私は、気がついたら何処かの想区の城に閉じ込められていたの。定期的にクリウスがストーリーテラーや、想区のヒーローについて話をしに来ていたんだけどある日……


「メル、一緒に逃げよう!」

そう言って私を連れ出し、沈黙の霧の途中で、クリウスが倒れた。

なんとか別の想区に着いたんだけど、その時のクリウスは自分の記憶をなくしてしまったの。


「唯一わかったのは、私がクリウスから聞いた話と、『双剣の栞』の使い方だけ」

「じゃあ調律は?」

「あれも、私が閉じ込められていた時、クリウスが私は調律の巫女の血統だって、教えてくれたの。」

「調律の巫女か……?」


クリウスは、自分の名前も知らない私にとって、親のように大切な人。

時々無茶させるけど、ヒーローとコネクトして戦うクリウスに比べたらへっちゃらだよ。


「名前をつけてもいいかな」

初めて会った時。

「俺の名前を分けてあげよう。君がメルで、俺はクリウスだ!よろしく!」


「私は、クリウスの力になるって、決めたんだ」

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