第16話

「俺のこと、知ってるのか!」

クリウスが目を見開く。

「……」

その様子を赤髪の女性は苦々しく見つめ、呻きを漏らした。

「……やはり記憶をなくしたのか、だが想定内だ」

闘技場の観客席が不穏な空気に包まれた。

「メル、クリウスの側にいろ」

「ベレッタ?」

「ここは俺に任せろ」

ベレッタが前に出る。栞とリボルバーを両手に構えた姿は、二丁拳銃を思わせるたたずまいだった。

「我らが混沌に仇なす、だっけ。ならあんたが黒幕か」

「……導きの栞だと!」


「俺の運命で、お前を裁く!」

リボルバーを真上に放り投げ、導きの栞を空白の書に挟んだ。


「コネクト!」


光に包まれたベレッタが、リボルバーをキャッチして見せたその姿は、


「僕には優しさなんて必要ない」

氷のような鋭さを持つ少年だった。


カイ

悪魔の鏡で優しさを失い、雪の女王に連れ去られた少年


「……邪魔だ!」

フローズン・ワールド

カイの魔道書から発せられた冷気が、ヴィラン達の体に氷を貼り付けて行く。

「クルルァ!?」

動けなくなったヴィランに向けて、ベレッタのリボルバーが放たれる。

あっと言う間に、ヴィランの大軍が片付いた。ベレッタの周りには大量の薬莢が転がっている。

「ベレッタの適正は、アタッカーとヒーラーなのか!」

「シューターじゃ、ないんだ………」

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