第10話

「……これがこの事件の顛末だ。それから司祭は悪魔になり、俺を探しているんだ」

ベレッタが黙々と話した想区の背景をクリウスとメルは、泣きながら聞いていた。

「なんで…そんなことに…ひくっ」

メルは顔をぐしゃぐしゃにして号泣していた。

「……そこまで泣かれても困るんだが」

「お前は!自分で決めたんだよな!でも辛かったよな!」

クリウスもまた、片眼鏡を外して目元を隠して泣いている。流れてる涙が若干多過ぎるくらいだった。

「お前は目元どうなってんだ」


「わかった!お前の運命はここで一度終わりだ!」

泣き止んだクリウスがベレッタの肩を掴んで言う。

「この想区の混沌は、俺たちで止める。でもそれは、お前とジャルタのことも、なかったことになってしまうんだ。」

調律は、想区内のイレギュラーがリセットされる。空白の書の介入も、カオステラーの混沌も、修正されて消える。

「……ジャルタは生き返るのか?」

「……っ!…出来ない。ジャンヌ・ダルクの代役が、代わりに運命を全うする。」

「……二度死ぬようなことにならなくていい」

クリウスは双剣の栞と小さな栞を取り出して、ふと思い出したようにメルに聞いた。

「あれ?メル、この間調律した『宿り木の栞』はどうしたの?」

「あっ。これのことね。はい」

メルは、小さな栞 宿り木の栞をクリウスに渡した。それはいつか、カオステラーを調律したときに持っていたものだった。

「さーて、このヒーローはっと。おお!初めて見たヒーローだ!」

クリウスは栞を見て一人で喜んでいる。それを見ていたベレッタはあることに気づいた。


(あっ。俺、ジョージさんにもらったかもしれないな)


その時

三人の前に、爆発と共に悪魔の大軍が現れた。


「見つけたぞぉ!この愚か者達よぉ!」

カオステラーが、敵意をたぎらせ現れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る