第七話

数週間前


「待ってくれ!!なぜ私が裁かれないといけないのか!」

「ここに書いてある通りだ。お前が不正に稼いだ利益があるのと、孤児の売りさばき。お前の罪状だ。」

町の小さな酒屋で一人の裕福そうな男が呻いた。ベレッタは男から取り上げた十字架をふりふりと揺らしながら、男に淡々と告げる。

「こういう悪事をしておいて、主への祈りとは笑わせる。」

「なぜだ!私の運命の書ではこんなことにはならないはずだ」

「なぜだなぜだと、同じことしか言えないのか」


俺もお前らも


ベレッタは心底呆れた顔をして、懐から拳銃を取り出した。

「認めん認めん認めん認めん認めんクルルルルァ!!」

突然、男の姿が変わり獣のような悪魔、ビーストヴィランになった。その瞬間、拳銃が火を吹いてヴィランを吹き飛ばした。そのままヴィランは溶けて消えた。

「……人の皮一枚下に悪魔がいるってのは、気味が悪いな。」

拳銃をしまい、罪状を書かれていた紙を握り潰して去っていった。


「お疲れ様でした。ベレッタ殿。」

「これは、司祭殿」

町から戻ったベレッタは、同じく業務から戻った司祭と会った。

「相変わらず、悪魔払いは見事な手腕ですな。」

「いえいえ、真なる異端審問官に比べたら未熟ですよ」

「私も今戻ったところでね、聞いてください。」


「ついにあの魔女、ジャンヌ・ダルクの処刑が決まりました。」


「……っ!」ベレッタの表情が一瞬、悲痛なものに変わる。

司祭はそれに気づかず続ける。

「一週間後、ついにわたしも運命の書の使命を全うできます。」

「……そうですか。では私もその魔女を見せてもらいましょう。」

ベレッタは懐の銃のグリップを、壊れそうな程握りしめていた。


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