第二話
どこかの農村で
「……行っちまうのか、ジャルタ」
「……ええ。私は運命を全うしなければならない。」
「そんなバカげた運命、そんなに必要か?お前がここで平和に暮らすことより、大事なことなのか?」
「少なくとも、戦争がこのまま続けば、この村も無事では済まされない。だから私は行くのです。みんなを守るために。」
「……クソッ!」
「……ごめんなさい…私があなたに運命の書の内容を教えなきゃ、あなたを苦しませなかったのに。」
「運命運命とよくそんなことを、持ってない俺に言えたものだなぁ!主の声も!ストーリーテラーの運命もない俺に、どうやって信じろっつんだ!」
叫んだ青年は、怒りで目を赤く泣き腫らしながら、目元を拭って言った。
「俺が…信じられるのは…男勝りのわんぱく女の友人だけなんだよ…なんだよ聖女って…」
「……さよなら、ベレッタ」
少女は、村から去っていった。
「ほう、なかなか良い見世物だった。」
青年の後ろに、謎の男性が現れた。豪華でこの辺りには似合わない服を着込んだ。異国の人物だった。
「敵国のイカれた女として書いた時期もあったが、やはり悲劇の聖女として書いた方がウケが良さそうだな。」
青年には目もくれず、去っていく聖女を見据えて男が呟いた。
「何言ってんだ…?あんた、なんなんだよ。」
「力が欲しくないか?」青年に問う。
「は?」
「彼女の運命を変えるための、力が欲しくないか、役者よ。」
「……っ!ああ、欲しいね!あいつを変える、力が欲しい!!」
「ならば来るがいい。さすれば君の新たな運命は、君をふさわしき場所へと導く。」
男はジョージと名乗り、彼らは村を出ていった。
(下手をすれば、新たなカオステラーを産むかもしれないな)
ジョージ、 創造主 ウィリアム・シェイクスピアは一人の空白の書の持ち主に新たな運命を与えた。
「……ベレッタ《拳銃》か、その引き金は誰に向けられる?」
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