第3話 作業時間や時期、その内容
農業には大きく、二つにわけられる。
特定の季節に出荷するものか、年中出荷するものか、この二つだ。
どっちが楽か? どっちがきつい?
これにはメリットとデメリット、両方あるので、何とも言えない。実際にやってみるか、自分の性格と相談するのが一番だろう。
閑農期、繁農期、こうしたものがあるのは、季節に出荷するものだ。ぶどうや梨、りんご、みかんなどがそうだろう。
簡単に言えば、作業する時期と、しない時期があるわけだ――が。
これのメリットは、それこそ一ヶ月休み、というのが可能であること。
デメリットは、繁農期に作業が一気に集中して、それこそ日の出から日没までずっと作業をする、なんてことになりうることだ。
また同時に、こういう農業は収穫時期にしか収入がない。
年中出荷の場合、当然だが、年中仕事がある。
同じことを繰り返す仕事が多く、今日の仕事を多めに終わらせても、なんだかんだで明日の仕事があったりする。休日を作りにくいが、しかし、作業調整もできる場合があって、作業が集中する時期が少ない。
また、出荷があるので、収入も年間通して、定期的にあるわけだ。
年中出荷はほとんど、施設を持っている。温室やハウスであれば、窓の開け閉めの作業もあるし、なんだかんだで仕事場の様子見をしなくてはならない。一日中寝ていることは、まず、難しいだろう。
ただ、忙しい時期がほとんどないのが救いか。
花の農業をしていると、野菜農家などに「綺麗な仕事だ」と揶揄されることもあるが、隣の芝は青いというか――ただ、私が花き農家なので言わせてもらうと、頷きはしないけれど、確かにキャベツと比べれば楽だよ、と思わずにはいられない。
花き農家には、大きく二種類ある。
一つが鉢花、もう一つが切り花だ。
鉢花というのは、観葉植物などもそうだし、胡蝶蘭を見ればわかるだろうけれど、鉢物として出荷するものだ。切り花とは、花を切って出荷するものになる。
切り花は比較的安いとされるが、楽は楽だ。仕立てて綺麗に見せることもしなくていいし、何よりも軽い。キャベツのように、しゃがんでやる仕事なんかも少ない。
私がやっているカトレヤは、切り花になる。
まあ楽とはいえ、単価そのものを考えれば、良し悪しもある。
ただ。
寒い時期の収穫で、風の強い冬にキャベツを収穫している人たちを見ていれば、ハウスの中で温かくしながらの作業は天国だろうし、腰も痛くならないこちらとしては、凄いなと思ってしまうのである。
いずれにせよ、会社勤めのよう、休日がはっきりしているわけではない。ただ、手を抜くところを抜いて、上手くやれば、楽な生活もできなくはないのである。
では次項、生生しいかもしれませんが、お金の話を。
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