第2話 農業を始めよう。――いくらかかる?

 会社を立ち上げるにせよ、農業を始めるにせよ、初期投資というのは必要になる。

 私の周囲で最も安く済むのは、キャベツだとよく聞く。

 キャベツの場合、苗を育成する小さなビニルハウスが欲しい。これは、苗を買って畑に植えるまでの間、成長させるための期間に利用するからだ。

 あとは、畑があればいい。こちらはよく、借り入れ――借地として、農地を提供しているところがあるので、そういうところと相談すれば良いだろう。

 初期投資は、おそらく、こんなものだ。実際の金額は書かないでおくが、安く済む。


 しかし、もちろん農作業そのものを考えれば、畑を耕すトラクター、うねを作る機械、収穫用のテーブル、荷物を運ぶための車、そういったものも必要になる。効率そのものは落ちるが、使わないものもあるし、あるいは、農作業機械を借り入れることもできる。


 では施設園芸などを代表とする、施設が必要なものは、どうだろうか。


 もちろんこれは、施設が必要になる。ガラス温室や、ビニルハウス。敷地面積に応じて、建設費用は当然のよう初期投資だ。

 野菜であってもトマト、ミニトマトには温室が必要になり、今では地面に植えるのではなく、ベンチを温室の中に作り、その上に、土の代用品のようなものを敷いて、そこに植える。

 また、年間出荷が可能なトマト、あるいは花もそうだが、そうしたものは冬の暖房設備が必須となり、場合によっては冷房設備も必要になる場合がある。


 じゃ、花はどうなんだ?


 キャベツやトマトなら苗を、そして花もまた苗を購入しなくてはならない。

 いや、野菜の場合は種になるのか。


 花き農家の場合。

 実は、苗の購入代金が原因で辞める農家も少なくない。


 厳密に言うのならば、苗を購入して育成し、販売段階に至っても、儲けが大きく出るほど値段が良くない――となる。

 そのくらい、苗の代金が大きい。

 その上で、育成期間の経費を上乗せした時、儲けがでは生活できないわけだ。

 特に、時期ものの花は大変だ。

 考えて欲しい。キャベツ農家の収入はどこだ? それはもちろん、キャベツを収穫して出荷する時期だ。

 花もそう。育成して花を売る時に、儲けが出る。


 基本的に、――それ以外の時期に収入は、ない。


 苗を買った時点で、販売する時期の値段なんてわからない。去年のものを目安にすれば、ため息の一つも落ちる――というのが、現状だろう。まあ、そうでない場合もあるけれど。


 話は少し逸れたが、初期投資の大小というのは、入門の壁の大小に繋がりがちだ。

 しかし、ここで明言しておきたい。

 どうであれ、作るものが好きであるのならば、続けることができる。

 好きであるのならば考え、工夫し、儲けを出そうとするし――農家が今でも存在するのが、成功の証明でもある。

 今から始める、そのハードルが高いことは否定しない。けれど、やりようはあるのだ。


 次項では、農作業に取られる時間などの話を。



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