外の世界
ある日の朝、むつみちゃんは、ボクをかかえあげて、ボクを見た。
むつみちゃんの顔がそこにあった。
微笑むと、2つエクボが現れるむつみちゃんの顔。
ダイスキだった!むつみちゃん。
あの時、ボクの目を見つめて、こう言ったネ!
「今日は、ね!すごいぞ!!そ・と・の・世界に・ぼ・う・け・ん・に行くのよ」って!
ボク達、知性化犬は、人工脳に内蔵されている情報端末の力で、文字情報を操り、むつみちゃんの脳インプラントと直接会話が出来た。
他の先輩犬たち、マサさんやウッキさんたちは、ふざけて、外は、すっごく怖いとこで、もうココへは戻って来れないゾ!って脅した。
でもそんなことは無いって知っていた。
周りのニオイも、むつみちゃんが放つニオイも違うって教えてた。
ちっとも怖くは無かったよ。
その頃、やっと4本の足でしっかり歩けて、走れて、飛んで、廻って…何にでも自信がついた頃。
《見る》物、《感じる(嗅んじる)》物、何もかもが、すべてが素敵だった。
そして訪れた、外の世界は、オドロキの連続だった。
研究所のむつみちゃん達人間や、マサさんやウッキさんたち知性化犬とは違う、外の生き物たちとの、はじめての出合い。
前から歩いてくるボクと同じ犬の形をしたソイツは、野蛮で、ゾッとする臭いを放ちながら近づいて来た。
ソイツは、性欲と食欲を恥ずかしげも無く、ムキ出しで近づいてきた。
余りの下品なソイツを《感じ(嗅んじ)》ボクは、危うく気を失いそうになる。
その後、犬という動物は、ソイツのようなのが普通であってボク達のような存在が特別なのだと教えられた。
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