~レン・キルラの正体~
「まず……貴方があの現象の最初の被害者で間違いないでしょうか」
「多分、私が初めてだと思います。あの頃はまだ言い伝えすらありませんでしたから」
「そんなに前なんですか……!!」
「ええ。もう何百も前ですね……。まだ千年は経っていないと思います……」
「あの……嫌なら嫌と言って下さい! 獣になってもらってもよろしいでしょうか……?」
留美はダメ元で頼む。美江は少し驚くも笑って
「いいですよ。怖かったら言って下さい」
そう言うと、美江の緑色の目が赤くなり、耳や牙・爪が出、尻尾も出た。
「うわぁ……! 凄いです。人によって獣のなり方が違うんですね……!」
留美が目を輝かせる様子に美江は驚く。
「留美さん……貴方、もしかして……」
「はい。実は私も覚醒人間なんです」
そう言うと、留美は目を赤くし、獣になる。
「……そういうことね。貴方も私と同じなのね……」
美江は留美の頭を撫でる。
「私の場合は、牙と爪と翼が出ます。あと、握力が強くなります」
「人によって……獣のなり方が違う……。ほうほう、これも何か手掛かりになりそうだ……!」
「……レンさんは、違うのですか?」
「あぁ、私は残念ながらただの人間です。ですが、人間の中で一番、覚醒人間に関わっていると思います」
「……そうですか。……? レンさん、貴方……何だか不思議な物を感じます」
「私からですか? 何でしょう……私には分かりかねます……」
「そう言えば、キルが起こした事件で、レンの手から光が出たような……」
「……! 留美さん、それです! レンさん。貴方は心の赤を持つ者なのでは?」
「わ、私が!? そんなはずありませんよ! 言い伝えには、紫色の光と関係し、人間を救うとありますが……私が人間達を救った覚えはありませんよ!?」
「それは当然です。心の赤を持つ者は、力を使うと自分の体力も奪われるのです。心の赤を持つ者の力……それは、攻撃を防ぎ、時間を止める力。その効果が切れる時、紫色の光を出すのです。それが攻撃を防いだと人間が思い込んだため、言い伝えにも紫色の光を出すような書かれ方がしてあるのでしょう」
「私が……あの言い伝えの中の……心の赤を持つ者……!?」
「可能性は高いと思います」
「ですが、そうだとしたら、力を使ったのは今回が初めてだと思いますが……」
「そうなの? レン」
「まず私にそんな能力があると思いませんでしたし……」
「……心の赤を持つ者は何人も存在し、それは時が経つごとにどんどん受け継がれ、今回貴方が奇跡的に心の赤を持つ者のDNAを受け継いだのでしょう」
「なるほど……それなら話は繋がる。ってことは……この言い伝えを書いたのは……心の赤を持つ者と遭遇した人間でしょうか」
「まずはそう考えられますね。心の赤を持つ者自身が書いたとは言えないでしょうし」
「かなり手掛かりになりました! あと、私の正体も分かった気がします。ありがとうございました!」
「いえいえお役に立てて良かったです」
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