~留美~

 ココハドコ? ワタシハ誰? ドウシテワタシハココニ居ルノ? ワタシハ何? 何、何、何? ……あぁ、そうだ。私、人間じゃなかったんだ……。私は獣。人間から覚醒した獣。かつて私も人間だった。なのに、あの赤い月を見た瞬間、血が騒いだんだ。そして気付けば、姿が獣になっていた。翼が生え、牙や爪が鋭くなった。……あぁ、もう私は人間に戻れないのだろうか……。どんどん忘れる感情。

「……人間狩り、始める」

そう呟いてから、私の意識は闇に落ちていた。勝手に体が動き、爪を立て、噛み付き、次々と赤い華を咲かせた。人々は赤い華を咲かせ、崩れ落ちる。中には青い華も咲かせていた。そしてふと、意識は戻る。私の周りは赤だった。私の服も赤い華を咲かせていた。そして気付いたんだ。私は自分で自分を孤独にしていたのだと。

 あれからどう過ごしたかなんて覚えてない。どれだけ経ったのかも知らない。分かることはただ一つ。私はもう永遠に人間に戻れなくて、ずっと独りだということ。……ねぇ、私は何のために生きているの? どうして覚醒したの? 何で私なの? 私はどうして死ねないの? どうして姿が変わらないの? ねぇ……誰か答えてよ……。教えてよ……。返してよ……。私の人生を……私の未来……。

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