~人間狩り終始~
彼女は次々と赤に染めた。その度に彼女の服・顔・髪に赤い華が咲く。
「あはは!! あははははは!!」
高い笑い声をあげ、彼女は狩りを楽しむ。そして目の前の人を狩ろうと爪を立てる。
「…………――!!」
「!?」
一瞬、彼女は正気を戻す。目の前には、彼女の大切な人。しかし、その人はもうボロボロだった。彼女の爪はその人の胸を刺していた。
「
「!! ああ……あああ……あああああああああああ!!」
大切な人が傷付き、彼女……留美は叫ぶ。彼女の周りは大切な人の赤だらけだった。
「留美……!!」
必死に止めようと、大切な人は彼女を押さえる。
「……!!」
ようやく留美は落ち着く。も、手遅れだった。大切な人に深く突き刺さる爪。
「留……美……ゲホッ……落ち着く……んだ……。ハァ……ハァ……。お前は……たとえどうなっても……人間……だ!! ……あの言い伝え……関係ない……。たとえ……ゲホッ、ゲホッ……覚醒して……人間じゃ……なくなったと……しても……お前は……留美という名の……人間だ……――――…………」
彼女の頭に乗せられた手がふと落ちる。
「ああああ……」
留美は赤い涙を零す。いつの間にか雨が降っていた。雨は大切な人の赤を流していく。体温を奪っていく。
「…………
そっと目の前の彼の名を呟く。もう冷たくなったその体はただ赤を流すだけ。
「……ごめんね……。貴方をこんな目に合わす私は……もう、人間じゃないよ……。ゴメン……ね」
留美の青い目はふと、赤くなる。動かなくなった“人形„の頭を掴み、持ち上げる。
「照……。アナタは止メテクレタ……。だけど、ゴメンね……。私ノ暴走……止マリソウニ……無イヤ……」
青い目は点滅し、完全に赤くなり、“人形„を握り潰す。
「……処理、完了」
そう言い、留美はその場を去った。彼女の目は赤い涙で溢れていた。
「……何……コレ……。何で……コんなに……出るノ……? 私……当然の……コト……シタだけ……ナのに……」
赤い涙は次々と零れる。知らず知らずに。分からないまま、歩く。視界が何故かぼやける。彼女の足取りは、どこか頼りない。
「……どう……して……」
彼女は倒れ、気を失う。すると、姿は元の人間に戻り、涙も普通の涙に戻った。
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